アパートのドアを乱暴に開けて、壁にナルトを押し付ける。すぐに青年の口を塞ぎ、両手を壁に付けると、カカシは吐息を漏らした。
「はぁ…。ナルトのココ、反応し始めちゃってるね?」
「んぁ…。だってカカシ先生が、んんん…っ」
カカシの熱い下半身を擦り付けられ、ナルトは唇を噛む。そのままお互いの衣服を脱がし合い、縺れるように、寝室まで移動する。
「はふ…」
カカシのアルコールの匂いに酔ったのだろうか。ナルトの頬は薄っすらと赤い。ギシ、と鳴ったベッドの軋む音が情事の始まりの合図だった。
「ん、ふ…」
ベッドに横たえた青年に笑いかけ、十分に育った青年の陰茎をカカシは両手で包み込む。じゅっ、じゅっ、と濡れた音と共に、青年が喘ぎ出す。
「あ、あんっ。あんっ」
「気持ちいい、ナルト?」
「も、も、我慢できな…っ」
足を開いていた青年が、カカシを誘うように腰を揺らめかす。ふっとカカシは笑みを零し、青年の陰茎の根元をやんわりと握る。
「もう少し我慢しなさい?あとがつらいよ?」
揺らめいた碧い瞳に、軽く口付けを落とすと、カカシは青年の下肢に指を這わせた。
「やぁ、先生っ」
足を持ち上げられ、尻の蕾に指を突き入れられ、ナルトはボロボロと涙を零した。しかし、拒絶の言葉とは裏腹に情事に慣れたナルトのソコは3本の指を易々と飲みこむようになる。
「ふぅっ。くんんん―っ!」
柔らかくほぐされた個所を指をもってぐにぐにと拡げられ、――自分の内部を男に覗かれているのだ、と思うとそれだけで身体が熱くなった。
「んやぁ、カカシせんせぇ…。もう、苦しい」
「ん?なぁに?」
「せ…っ」
駄々っ子のように首を振る青年の髪を何度も梳きながら、「あったかそ…」と自身の昂りを青年の蕾に合わせる。それだけで、青年のつま先が、次に来る衝撃を予測してシーツの上でぴんと張り詰めた。
「意地悪してごめんね…?」
「んあ、…ひぁああんっ」
ニッコリと笑って、カカシはぐっとナルトのペニスを摘まんだ。
「あ、あぁあああぁ…っ」
一気にカカシのペニスを挿入され、同時に堰き止められていた己の欲望を解放されると、ナルトは一気に果てた。カカシの動きは当然止まらない。達したばかりの身体を揺すられ、ナルトは淫らに喘ぐ。
「ん!あ!あっ!あっ!」
未だ、精液を放出したままのナルトは涙を零しながら、シーツを掴む。
「ふ、ん、ん、んっ」
「おまえねぇ、掴むならこっちにして欲しいな?」
カカシはナルトの手を自身の首へと導くと、律動を激しくした。
「んあっ。あ、あ、あ。せんせぇ、カカシせんせぇ」
「く。おまえ、締め付け過ぎ…」
「くぅんんっ」
カカシは一際深くナルトの身体を折り曲げると、ナカに射性をする。何度か身体を揺すって、全て出しきると、青年を抱き込んで自身もシーツに突っ伏す。
「ナルト…」
シーツに散らばった金糸をさらさらと梳く。くってりとカカシの胸に身体を預けたナルトは、気だるそうに金色の睫毛で縁取られた瞳を緩慢に瞬かせる。
「ん…っ」
後ろからカカシにペニスを擦られて、ナルトは鼻掛かった声を漏らす。
「おまえはまだ中途半端になってるでしょ…。すぐ楽にしてあげる」
艶掛かった声を上げて、ナルトは身を捩る。カカシはナルトのペニスの先っぽを擦りながら、窓に視線をやる。
「朝帰りになっちゃいそうだねぇ…。先生がうるさそうだな…」
やがてナルトが達すると、二人は指を絡め合って、眠りに落ちた。
「ははは。おかえり~」
カカシの予想は当たった。朝の日差しと共に、はたけ家の門の前で仁王立ちする、黄色い閃光。朝帰りの息子と弟子を笑顔のまま出迎えつつ、口元をひくひくとさせている。息子の手前、怒りを堪えているといったところだろう。
「カカシくん。ちょっとこっちにきなさい」
「いやですよ。これからナルトと朝食を食べるんです」
「大~丈夫だよ。火影のゴッドハンドでもって執刀してあげるからすぐに終わるからね。安心だよ♪」
「いやだなぁ、先生。オレのモノがなくなったらナルトが泣いちゃいますよ~」
まったく笑えませんよ~、とカカシが満面の笑顔で返すと、
「意味がわからないよ~、カカシくんったら」
と、四代目火影が聖人君主のような笑顔で微笑む。膠着すること、数十秒。爆発したのは二人同時だった。さすがは師弟である。息がぴったりであることは、当人たちには不本意であろうが事実には違いない。
「いいですか、先生。オレはナルトの教師!上司!そのうえ恋人なんですから!そろそろ認めてくれてもいいでしょーよ!」
「昔から、生意気だ、生意気だ、とは思ってたけど、まさか恩師の一人息子に手を出すような下半身のだらしない男に育つとは思わなかったよ。素行を改めて出直してきなさーい!」
古典的な漫画の表現を使うのならば、星やら憤怒の蒸気をバックに飛ばしつつ、両者が掴みかからんばかりに衝突していると、二人の言い合いを聞き付けたサクモが、和装に下駄を引っ掻けた恰好で軒先に出て来た。
「ミナトくん。二人はもう自分で責任を持てる年齢じゃないか。そんなに目くじらを立てなくてもいいと思うがね…」
「ナルくんはまだ未成年です!!」
それにこんなに可愛いんです!
親のオレがいっぱい愛情を注いであげるんです!!
と力説するミナトにサクモは苦笑しつつ、
「きみだって、このくらいの時は、外泊の一つもしただろうに…」
「オ、オレは奥さん一筋でしたよ!!」
たじろいだように、ミナトはサクモの前で唇を噛む。
「カカシくんみたいにクシナさんにふしだらな思いなんて――そんなことしたら殴られたし…とにかくオレたちは清く正しい関係だったんです―っ」
キィキィ騒ぐ四代目は拳を握り、何か哀しいことを思い出したのか瞳に涙を溜めていた。カカシとサクモは同情したように、表情を曇らせ、ナルトと言えば、割烹着を着て台所へ向かった。
「父ちゃん、カカシ先生。朝飯前に騒ぐのは程々にしねぇと駄目だってばよー?」
笑顔を残してナルトが去って行くと同時に、再び師弟の睨み合いが始まる。はたして、ナルトは無事にはたけ家のお嫁さんとなるのだろうか。四代目とサクモ、カカシとナルトの物語はもう少し続くことだろう。
とりあえず終わり。ミナクシができちゃった婚だったら死ぬほど楽しいな。と思うこの頃。クシナさんはちょっと嬉しくて泣いてからミナトパパに発表する時はガハハと笑いながら「できちゃったv」とか言って欲しい。