空気猫
空気猫
完…かな。間抜けな推論しか考えれなくてすいません。
ちなみに某Tさん宅のセーラー服ナルトが心のイメージ画像でした。忘れられそうにないのでお嫁に貰ってもいいですか。(ここで言うか)
もしPならば、Qである。
Qである。
したがってPである。
推論は論理的に正しいとは言えない。「もしPならば、Qである」の前提が真実であっても、それによって導き出される答えが間違っているからである。
では、これを身近な例えに置き換えてみよう。
はたけカカシには遅刻癖がある。
遅刻癖がある。
はたけカカシである。
結論から言ってこの推論には、欠陥が生じている。遅刻癖があるからと言って全ての人間が、はたけカカシとは限らないからである。(いや、本当に。そんな決めつけないで下さいよ)このように、世の中には真実と偽りが混じり合っているものなのである。
**********
木の葉学園高等部。とある昼下がり。来たる秋の学園祭でコスプレ喫茶などという如何わしい催しを行うことを決定したクラスで、男子生徒全員参加によるじゃんけん大会が行われていた。
コスプレ喫茶に〝イロモノ〟を添えるという趣向のもと、じゃんけんの敗者がその役割を担うことになるのだが…。
「ぎゃーーー、負けたってばぁ!」
渾身のじゃんけん大会の結果。拳を握ったままナルトは絶望的な悲鳴を上げ3秒間固まった挙句、春野サクラから差し出された衣服を恨めしげに睨んだ。
暇潰しの余興は人がやると楽しいが、自分の身に降りかかって来ると誠に厄介なものである。ナルトは苦虫を百匹ほど噛み潰した表情で、手元のセーラー服に袖を通さねばならない現実を呪った。
「ぎゃははは。ナルト、似会うぢゃねえか」
「すっげ足の間がスースーする。落ち着かねえってば……」
数分後、着替えを済ませたナルトはセーラー服姿で、再び教室に登場した。クラスメイトの間で控えめなどよめきが起こる。
濃紺カラーの上下揃い。膝上のスカート丈。カツラは使用せず、ぴょこぴょこ跳ねた金髪頭は、地のままで、襟足がセーラー服の襟元に掛る程度。男子生徒に熱心な視線を注がれているとも知らずに、ナルトは気まりが悪そうにスカートのウェスト部分の位置を左右に直す。
「なんだかマジで女みてぇだなおまえ」
「ああ、なんかヤバい。変にクる」
「んあ…。そうかぁ?」
同性の称賛の言葉を心を半分飛ばしながら受け止め、なんか腰のところがユルい…、と呟いたナルトの頭をサクラはどこから出したのかハリセンで物の見事にすっ叩く。
「アンタ、私に喧嘩売ってるの!?」
「うぇ、え、え?オレってばそんなつもりぢゃ……サクラちゃぁん」
瞳をグルグルさせたナルトが慌ててサクラに縋る姿は教室の中では見慣れた光景で、周囲から笑いが漏れた。
「大体、アンタの腰のラインが細過ぎるのよ。失礼しちゃうわ」
「ご、ごめ。サクラちゃん。てかキバ、笑うんぢゃねえ!」
顔を真っ赤にさせてナルトが激怒する。ふわりと二本脚が飛び出したスカートが閃いた瞬間サクラは改めてナルトを見て、喉を詰まらせた。
潤んだ吊り目がちの視線。シャンプーなどを特別気に掛けてもないのに、サラサラで西洋人形染みた金糸の髪の毛。ほんのり匂い立ちそうな色素の薄い肌。尖った唇から紡がれる弱々しい声。冬服を着たナルトは色が引き締まって見えるせいか、生来持っている色と相まっていつもよりか細く見え、負けは認めたくないが、女子であるサクラの目から見ても、ナルトの外見は可愛らしく映った。
「…アンタ。なんだか凶悪だわその格好でいると」
「へ?」
きょとんしたナルトは、不思議そうにサクラを見つめる。周囲では他のクラスメイトたちがコソコソ何事かと話し合っていた。
そして突然、視界が反転したかと思うと、ナルトは机に押し倒されていた。
「それじゃー、ナルト。おまえそのまま記念にカメラの前でキバとキスな!」
「は?」
「げぇ、なんでオレがナルトとキスしなきゃならねえんだよ」
「そうだってば」
「いやいやすげー似合ってる女装の記念にな」
「そういえば新聞部からもおまえの写真が欲しいって来てるしな」
「そんなこと聞いてねえってばよ」
「じゃんけんでおまえが負けたのは偶然だがこれも運命だと思って諦めろ」
「な……っ!」
四方から、がっちりと抑えられた手首。
「オレが罰ゲームみてぇだ」なんて、頭を掻いているキバ。
げげげ。冗談ぢゃねえ…!
蒼褪めたナルトは、「馬鹿言ってるんぢゃねえ…!」と周囲の男子生徒を蹴散らすと忍者さながらの動作で起き上がる。
「んだよ、どーせ男同士なんて減るもんぢゃねえだろ」
「そーだ。大体てめぇファーストキスも中学の入学式の時にうちはとだろうがよー」
「そそそそういう問題ぢゃねえ…!」
迫りくる集団に、ナルトはジリジリと後ずさる。確かに、以前の…つい三日ほど前のナルトなら、ノリでキスをすることもしたかもしれない。ナルトのいつにない抵抗にクラスメイトたちは若干の違和感を感じているはずだ。
ただ今は…。脳裏をチラつく銀色のせいで、躊躇ってしまう。
もしここで自分が不用意に誰かと口付けたと〝あの人〟が知ったらどう思うだろうか。
ガキだと思われて呆れられる?
特別なキスは、その他のキスと混ざってしまって?なかったことになるのだろうか。
「………う。やだってばっ」
「ちょっと、ナルト……?」
ナルトの様子に心配するようなサクラの声。
捕獲しようとする手が伸びてきた瞬間、ナルトは教室のドアを開けると、脱兎の如く廊下に飛び出した。
「あ、こら。待て、うずまきぃ…!」
バタバタとリノチウムの床に複数の生徒の足音が響いた。
木の葉学園は旧校舎に新校舎が合体する形で建設されて居る。普段、生徒たちが使う新校舎は活気があり華やかだが、一歩間違えて真っ直ぐな廊下が続く建物の奥に足を踏み入れれば、採光の悪いデザインの旧校舎に迷い込んでしまう。
旧校舎は使われなくなった空き教室が大部分を占め、主に各教員の教材置き場や各学校行事で使う大道具置き場に使用されており、普段生徒が足を踏み入れることなど滅多にない。また、教員の中には新校舎に用意された新しい職員室を使わず、ひと気が少ないことをこれ幸いと、旧校舎を棲み家にして寝泊まりしているなんて非常識極まりない偏屈で変わり者の輩も居るらしい。
例えば、死人色の肌を持った銀髪の三十路教師などがその筆頭に挙げられている。
「ナルト、おまえなんて格好してるの」
ナルトが逃げに逃げて辿り着いた先は、件の旧校舎で。旧校舎を生息地としている、はたけカカシの前でセーラー服のスカートの襞が魅惑的に閃いた。
カカシはインスタントコーヒーのマグカップを持ったまま、つい一昨日、自分の想いを告げた己の生徒を凝視して数秒間固まった。
「お、おう。カカシ先生、ホームルームぶり!」
「何してるの?」
「……ええと」
薄っすらと埃の積もった床に、膝小僧を折って、ナルトは何者かから隠れるように、廊下の様子を伺っている。
カカシの無駄によく回る頭はすぐにその状況を理解した。
「はぁ……」
「カカシ先生ぇ…」
「とりあえず部屋に入りなさい」
廊下の向こう側から犬塚キバや他の生徒の騒ぎ声が聞こえる。カカシはナルトの膝裏に腕を回し抱き抱えると、驚きの声を上げるナルトの叫びが、廊下の向こう側に届く前に数学準備室の扉を閉めた。
「うわわ、降ろせってばよカカシ先生…!」
狭い部屋の中に入るとナルトは人形のように、長机の上に載せられ、膝の埃を払われた。唐突過ぎるカカシの行動に戸惑いを含んだ視線が注がれる。
「おまえ、心臓に悪い恰好で何ほっつき歩いてるの」
「…っ?…っ?…っ?」
「本当、無意識で嫌になるねぇ」
カカシは頭をぐしゃぐしゃと掻き毟ると、パイプ椅子に腰掛けた。
「いや…その罰ゲームで」
「だろうねぇ…?」
ごにょごにょと言い訳めいたことを喋るナルトのふっくらとした唇を見ながら、カカシは熱湯に近い温度の珈琲を苦もなく飲み下し、ほぼ予想通りの答えを返してくれた少年に盛大なため息を吐いた。
「学園祭の出し物で、じゃけんで負けた男が女装やることになってさ、オレってばドベになっちゃって……」
ナルトは言いよどんだ挙句、いずれは学級担任であるカカシの耳にも入るだろうと踏んで事のあらましを正直に話した。
「なんかさ、罰ゲームついでにキスとかされそうになって…逃げてきた」
「え」
「セーラー服着てオンナみてえだからってひっでぇの」
見開かれたオッドアイを見て、ナルトは知らず、拳を握り締めながら俯く。
「何もされなかったか?」
「オレってば机蹴って逃げて来たから」
「そうか……」
どこかほっとしたようなカカシの声色に、ナルトも知らず息を吐く。
「呆れた……?」
「別に。おまえに何もなかったんならそれでいいよ」
では、やはりあのままキスをしていたらカカシの言う〝何か〟あったことになってしまっていたのだろう。
なぜ、心臓が締め付けられるのかわからないまま、ナルトは項垂れる。
しゅんとしたナルトの様子に気付いて、カカシは腰を浮かす。
「いや、すまん。言い方が悪かった。おまえが無事で良かった…。安心したよ」
コトン、とマグカップを机に置く音。狭い室内に漂う紙と珈琲の香り。ポフポフと頭を撫ぜられ、ナルトは眇めるように目を細めつつ顔を上げる。
「………?」
薄っすらと埃の積もった教材たち。四方を戸棚に囲まれた室内。カカシがナルトを通した個室は、普段なら滅多に生徒を入れることのない空間だった。本棚には難解な数式で埋め尽くされた数学の専門書の背表紙が並び、何年間もの間に渡って蓄積した論文、プリントや計算式のメモの類がうず高く積まれていた。
「………ここ、カカシ先生の部屋?」
「ま、そんなようなもんだねぇ」
のらりくらりとした様子でカカシが答える。
「名目上は数学担当教師の教材部屋だけど居心地が良くてオレ一人で住み着いてるのが正解かな?」
カカシは一介の高校教師でしかないものの、趣味がそのまま職業になったようなところがあり、今でも暇つぶしと称して、日がな一日数学の学術書を読み耽り、よく本職であるはずの授業に遅刻するほどであった。もっとも、カカシが新校舎に移らずに、使い勝手の悪い個室を愛用しているのはこれらの積もりに積もった荷物を移動するのが、面倒なことも原因の一つだろう。
「どうりでいっつも職員室にいないわけだってば」
「くくく。おまえたちにいっつも引っ張り回されたら敵わないからここに隠れてたんだよ」
「ひっでぇ教師」
「教師を長くやっていくための知恵と言って頂戴」
カカシは肩を竦めると、ナルトに向き直った。
「おまえこそセーラー服なんて着ちゃって…。いったいどこの女子生徒が紛れ込んで来たかと思ったデショ」
「うう……」
カカシの手がナルトの三本髭に添えられる。薄暗い部屋に、唯一ある採光を取り入れるためから窓から漏れる陽光を背に、教師の影がナルトに落ちた。カカシの視線を上から下に受けて、ナルトは気まずそうに、教務机に手首を乗っけて、追い詰められたような体勢を取る。
「これ、誰の制服……?おまえ、男なのにサイズぴったりだねぇ?」
何気ない動作でスカートの端をぴらりと捲り上げられ、ナルトは思わず両手でスカートをガードする。
「サ、サクラちゃ……」
「ふうん、サクラのか。おまえ、こういう格好も似会うねえ」
「んなこと言われても嬉しくねえってばっ」
カカシの私室と化している数学準備室の広さは、四方を囲む戸棚のせいで酷く狭い。そのうえ、専門家も目を剥くほど収集された本が、おそらくカカシにしかわからない法則で積まれていた。カカシが半歩動いただけで、二人の身体は密接した。
「褒め言葉だよ。素直に受け取りなさい?」
内腿にカカシの手がそっと置かれる。
「おまえ、足のライン綺麗なんだねぇ……?」
露出した太ももは、少年らしいシルエットを描きながらも、しなやかで、普段日に晒していないせいか、白かった。カカシが触れると、ナルトの全身は過敏にビクついた。
「腰も細いし…ちょっと酷くしたら折れちゃいそ」
本や、もしかしたら歳月を掛けて部屋事態に積もっていたかもしれない埃が、部屋の中で二人の人間が僅かに身じろぎしただけで浮遊しキラキラと光った。
「―――カ、カカセンセ?」
やたらと喉が渇くのはなぜだろう。そのくせ、視界がぼやけたように潤んでしまうのは、どうしてなのか。
「ナルト。セーラー服、脱がしていい?」
下手に動いて本の山を崩してしまうのを恐れて、身動きが取れずにいたナルトを両腕で囲うようして、カカシはナルトが逃げ出さないように拘束した。
「な、ななに言ってるんだってば。どこ触ってんだよ」
「だってこのままだと邪魔でしょ。それとも着たままシちゃう?それもいいねぇ」
「―――あっ…うぁ」
スカート越しにカカシの手が柔らかなナルトの尻を揉み上げる。
「クリーニング代はオレが出すから」
「……―――っくん」
押し殺したナルトの声に、カカシの下半身が疼く。
「可愛い……」
耳元に鼻先を擦りつけられるように囁かれ、ナルトは思わず首を逸らし、歯を食い縛った。ナルトはカカシの行動にどう対処して良いか解らず、己の内腿を撫でる手を止めることが出来ない。
「ん、んんん……っ」
そうしているのと同時に階段を登るように、カカシの指が衣服の間を這い背筋を駆け上がる。
「ブラは付けてないんだ?」
「あ、当たり前だってばっ」
「それじゃあ下は何を履いてるのかな。下着も女の子の?」
「や、やぁ………っ!」
スカートの中に侵入しようとする手を抑えようとするものの、体格差では大人の力には敵わない。あっという間に下着にカカシの手が届く。
「残~念。中はトランクスか」
「………うう~っ」
無理に足を開かせられたナルトは、教務机の上で震えている。
「やらしい恰好……」
「………っ!?」
「ソソラれるってことだよ。こんなに色っぽくて可愛いナルト、誰にも見られなくて良かった…」
「へ……?」
「おまえ、オレ以外の奴とキスしたらダメだと思って逃げて来てくれたんでしょ?」
「っんなこと!」
「―――あるでしょ?」
カカシの両腕が、プリントが散乱した教務机にナルトを挟んで置かれる。
「この間の宿題、ちゃんと考えてくれた……?」
ワントーン落とした声に、ナルトの身体が知らずにずり上がるが、わからない、と紡ごうとした口唇が、カカシによって塞がれる。
「んう……」
「はたけカカシがうずまきナルトにキスをするのは、はたけカカシがうずまきナルトに恋をしているから」
「んんんふう……っ」
深いキスの合間に、囁かれる言葉。キスに馴れていないナルトは息継ぎを上手くすることが出来ない。
「うずまきナルトがはたけカカシにキスをされてドキドキするのは、うずまきナルトがはたけカカシに恋をしているからなんだよ」
「んー…っ、んー…っ、んー…っ!」
「シンプルで美しい公式でしょ?正しい論理から導き出された公式は無駄がなくて美しい」
カカシはシニカルな微笑を口の端に乗せると教務机にナルトを押し倒した。
「センセ…」
まだ少年らしい丸みを残す頬を染めたナルトは、ぼんやりと滲んだ視界で大人を見上げる。
「おまえに欲情した。オレのモノになっちゃいなさい?」
カカシはワイシャツのネクタイを緩めると、ナルトの膝裏を抱え上げる。その時、昼休みの終了の合図を告げるチャイムが鳴った。
「カカシ先生、授業始まっちゃうってば…。ん、んうっ」
衣服の中をまさぐられ、ナルトはあえやかな声を上げた。
「………あっ、あん」
カカシの言った推論には決定的な間違いがある。つまり、感覚的な観念から導き出された結果は、正しいとは言えないのである。
しかしナルトはそのことに気付かない。
カカシも気付かせない。
いかさま師が巧妙に仕込んだ舞台の上。口の上手い奴にはご用心。
数学準備室で、不誠実な口を使った教師のふしだらな手が生贄となった生徒のスカートの中に忍び込んでいった。
ここらで終わっとこう。
どこで寸止めるか非常に迷いました。
(そうですね自分相槌)
ちなみに今サクラちゃんはクラスの男子を正座させて説教中です。
ちなみに今サクラちゃんはクラスの男子を正座させて説教中です。
この小連載はカカシ先生がセーラー服を脱がすまで続きます。
つまり人間というのは、非常に厄介な生物なのだ。
「科学における実験は仮説に基づく実験だってことはおまえにもわかるでしょ?仮説と確証するために実験する。従って科学においては仮説を定立することが、極めて重要なことなんだ。
だから、発想法とは事実を究明しそれを説明し得る理論を考案することを言うんだよ。つまり大前提として、全ての人間は死すべきものである、というものがある。そして小前提としてソクラテスは人間である、というものがある。よって結論はソクラテスは死すべきものであるということになるわけだ」
放課後のアカデミー。誰も居なくなったはずの教室で、数学教師と金髪頭の生徒が向かい合って座っていた。
ナルトは机の上に突っ伏して、教師の言葉に耳を傾けているのか、頭を悩ましているのか、とにかく低い唸り声を上げている。
一方で、銀髪頭の教師の方は頭を抱えている生徒に、優しげな視線をそっと落としていた。口から出てくる言葉とは裏腹に。
「さて、思考する人間には四つの偏見が降り掛ると歴史の先人たちは教えてくれている。種のイドラ、市場のイドラ、洞窟のイドラ、劇場のイドラだ。
種のイドラは人類一般に共通している誤りのことをいう。市場のイドラは言葉から生まれる偏見を示している。洞窟のイドラは有名だな。狭い洞窟の中から世界を見ているかのように個人の視野が固有の性格や教育で狭窄しがちなことを示している。劇場のイドラは思想家たちの思想や学説によって生じる誤りだ。口の上手い奴には騙されるなってこと」
「う、うん…?」
「つまりこの場合、何が言いたいのかというとオレはおまえが好きなんだけど偏見とか先入観に捕らわれず、オレのことをどう思っているのかを教えて欲しい」
「っ!」
「今のオレたちの立場を説明するとね、同性愛、年の差、教師と生徒、たくさんの偏見がある。だけど、そんなことを抜きにしておまえが好きなんだ」
ナルトは、カカシの言葉に再び唸り声を上げて机に突っ伏した。ナールト、顔を上げて?と甘い声色と共に少年の金糸に指が絡められた。それは普段、教室や職員室で出すカカシの声とはまったく違うもので、ナルトを戸惑わせるに十分なものであった。
そう、なぜ少年が今こうも頭を悩ましているかというと、ことの発端は小一時間ほど前に遡る。
ホームルームが終わった時、ナルトは担任の教師から呼び出された。数学教科担当の彼の名前ははたけカカシ。またテストで赤点でも取ったのだろうかと、ナルトはスポーツバックを肩に掛けたところで降ろして、カカシの指示に従って放課後の教室に居残った。別段、抵抗する理由はなかった。ただ、面倒臭がりのカカシが補習を行うのは珍しいので、少し首を捻っただけだった。
そして、ナルトは担任の教師から告白された。
頭が真っ白になったナルトに、カカシはくつくつと笑いながら、先のようなことを喋り始めたのだ。
「オ、オレわかんねえってばよ。突然そんなこと言われても、カカシ先生のこと、そういう目で見たことねえし…」
ナルトは、うんうん考え抜いた末に正直な自分の気持ちをカカシに伝えた。ナルトは、眉をへの字にして、唇を歪め、頬を紅潮させ、生意気そうな仕草でそっぽを向き、ズボンのところで握った手を戦慄かせていた。
極度に緊張していることが丸解りである。教卓に腰掛けていたカカシは、一番前の席に座って居るナルトへと屈み込んだ。
視線が合うと碧い瞳が戸惑ったように揺れて、「んだよ」と小さな声で文句を漏らされる。ナルトの耳たぶはいつもより赤かった。
「おまえ、本当に可愛い反応するねぇ……?」
カカシはナルトの学ランの襟を引っ張ると、ナルトの唇にキスをした。
「んふぅ……っ」
カカシと唇が合わさった瞬間、ナルトの目が見開かれる。ナルトの反応に気を良くしたカカシは猛禽類にも似た表情で色違いの目を細め、ナルトの髪に己の指を絡め、唇を合わせ続けた。
「んはぁ……」
やがて目を合わせたままカカシはナルトから唇を離した。カカシから解放されると、学ランの襟を乱したナルトがへなへなと椅子に座り込んだ。咳込みながらも、薄っすらと瞳を潤めたナルトの反応にカカシの唇の端が吊り上がる。
「そんなにオレのキス気持良かった…?」
「んな…っ!」
瞬間、何かを捲し立てようとしたナルトの額にまたキスを落として、カカシは教室を出て行く。
「それぢゃあ、これは宿題。今、オレとキスしてナルトはどう思った? おまえの顔が赤いのは、心臓がドキドキしてるのは、なーんでだろーねぇ?」
数学の公式より簡単な問題でしょ?と言い残して、教室のドアはパタンと閉められた。
あとに残ったのは呆然とした顔のうずまきナルトで、少年は日が暮れるまでそこを動けないでいた。
注)カカナルサイトです。某Tさんのセーラー服のナルトが忘れられません。
え、このタイトル?凄く気にいってますが何か?
もしPならばQである。
Qである、
したがってPである。
この命題は真か偽か答えなさい。
「んや……っ」
数学準備室で教師と生徒が揉み合っていた。荒々しい物音とは真逆の秘密めいた衣擦れの音。
三角定規やら難しい数式で埋め尽くされた教科書やらが満載されている机に押し倒されているのは生徒の少年で、彼の金糸に教師の指が絡み、二人の吐息は混じり合い、少年の着ていたセーラー服は銀髪の教師によって脱がされようとしていた――。
「カッ…シセンセ……!」
小連載です。プロローグです^^
以前足跡連載していたデリバリヘルス!の番外編です。カカシ先生がへたれていたばかりに(きっとそんな話だったような…)ナルトが、一回お店に戻った時の空白の五日間です。一応リクエスト品だったのですが…コメントした方も忘れているでしょう。短い話ですがお付き合い頂けると幸いです。
日記の方でアップしていた奴ですのでそちらを見ていた方は読まなくても大丈夫です。あまりにも更新が乏しいので表にもリサイクルアップしてみました。
性感ヘルスOto。歓楽街の一角にある雑居ビルを一個買い取り出来たそこは、他の風俗店と一線を期すサービス内容はさることながら、サービスを行うのが、全て少年に限られていることが売りの一風変わった風俗店だ。
全身リップ、お口でご奉仕、素股、手コキ、足コキ、ただし本番なしで、プレイ内容はお好み。甘えた、さびしんぼ、意地っ張り、メイド、ナース、etc.。その他、オプションは要相談。スペシャルオプションで少年ヘルスに寄る膝枕耳掻き完備。
まさに男の浪漫を売る店。性感ヘルスOtoとは、都会のオアシス的な存在の店なのである。
「おい、ナル坊はどうしたんだ。最近、珍しくため息ばかりついてるんぢゃないか」
蜘蛛というコードネームを持つダークスーツを着た鬼童丸が、階段に座ってため息ばかり吐いているナルトを見て不思議そうに、横のひょろりとした男に訊ねた。
「おまえにこの繊細な気持ちがわからないかねぇ」
そう言ったのは、ホストクラブの人バリに白いスーツを着用している、左近だった。
「兄貴、いつまで寝てるんだよ」
キャッチから帰ってきた右近左近兄弟は、お揃いのスーツと整った容姿で、客引きや風俗嬢♂の勧誘を行っている口の悪い一卵性双生児の双子だ。
眠り癖のある兄の頭を左近がぽかりと叩く光景は性感ヘルスOtoではお決まりの光景で愉快で下品な名物コンビとなりつつある。
そして今、店内でアイドルとなりつつある金髪の少年に、彼等の注目が集まっていた。
「左近、いやに思わせぶりな言い方をするぢゃないか」
鬼童丸が片眉を跳ね上げると、左近が小馬鹿にしたようにせせら笑った。
「あー、やだやだこれだから武骨者はいやだね。ナル坊も可哀そうに、ううぅ。こんな童貞ヤローに夜な夜なオカズにされているのかと思うと、オレは不憫で泣けてくるねぇ」
「な、なんだと」
「ぎゃははは、もしかして大当たりぃ…!?」
腹を抱えて笑いだした左近に鬼童丸は顔を真っ赤にして、怒鳴る。
「オレのことはどうだっていいんだ。オレが聞いているのは、ナル坊がどうしたのかってことだ。左近、おまえ何か知ってるのか」
「どうしようかな~、教えっちゃおうかな。どうしようかな~」
「左近、貴様……!」
拳をぶるぶる震わした鬼童丸に、左近はひゃはひゃは笑った。
「恋だよ、恋。ナル坊は初めて男に恋しちゃったんだよ。かーわいいねぇ。見ろよ、まんまるいほっぺは薔薇色、瞳なんて切なそうに潤んぢゃってさぁ。くう、堪んないねぇ。ナル坊はどう転がっても可愛いねぇ」
ハートを乱舞させながら左近が呟く。
「ナル坊が恋!? 早過ぎぜよ。まだあの子はじゅ、じゅ、16歳だぞっ。破廉恥だ」
「……鬼童丸おまえ、ナル坊の職業知ってて言ってんの」
ダイナソー(恐竜)でも見るかのような顔つきで左近が引いて、
「……ナルトが恋をしたのか?」
それまで左近の隣で彼に寄り掛るようにこっくりを掻いていた右近が、うっそりと顔を上げる。
「んだよ、右近。まさか、兄貴もナル坊が好きだって言いやしないよな?」
「………おまえの方こそ、実はナルトが好きだろ」
「へっ。流石、兄貴さまだぜ。なんでもお見通しってか~。好きだよ、わりい?」
「いや、まったく問題ないな。むしろ歓迎したいくらいだ。オレたち二人で、ナルトを愛せばいい」
「なるほど。そりゃいいや。ナル坊なら兄貴と分かち合える気がするぜ」
「オレたち二人の」
「恋人だ」
「オレたち二人の」
「ものだな」
ひゃっひゃっひゃ、と双子が笑い出すのを鬼童丸は気持ち悪そうに眺める。
「馬鹿双子が…」
鬼童丸は呆れたように、吐き捨てて、またナルトの方へと視線をやった。確かに左近の言う通り、ナルトは物憂げな表情で、地面に視線を落としている。その瞳がうるうると潤んでいるように…見えなくもない。唇が、やけに赤く熟れているような…気がしなくもない。
「あ~あ、ナル坊はもうそいつとヤっちゃったのかな~。ヤッちゃったよなぁ~。相手の男も放っておかないよな~、ナル坊可愛いもんな~。ああ、ついにオレたちのエンジェル、ナル坊もついにロストバックバージン?派遣先から、帰って来てから妙に色っぽいもんな~」
左近の話では、ナルトは誤送された先で、知り合いの男と再会したらしい。
「元担任!?教師に手を出されたのか!?」
鬼童丸が目を剥く。
「きひひ、相変わらずお堅いなぁ~鬼童丸は。今どき教師が聖職者だとか言っちゃうタイプか~?」
「そ、そうは言わん。だが、元担任ということは相当年上だろう」
「まぁな。まったくナル坊もつれないよなぁ。オレで良ければ手取り足取り腰取りぜ~んぶ教えてやったのになぁ。何を好き好んで野暮った~いお堅~い先公なんかに惚れたんだか…せめてこっちの業界の人間なら面倒なことにもならなかっただろうに」
そこで言葉を切って、左近は空と同じ色の目を持つ金髪碧眼の少年を見つめた。
ナルトは、ビルの非常口に座って、空を見上げていた。しかし、そこに何かの答えが見つかるわけもなく、ため息ひとつ吐いて、また足元に視線を落した。すると、見知った影が階段に伸びた。
「おら、男ならいつまでもウジウジしてるんぢゃねーよ。この蛆虫野郎が」
「多由也姉ちゃん…」
振り返るとそこには、赤い髪を持つパンツスーツ姿の女が立っていた。
「おまえがシケた面してるとこっちまでクサクサした気分になるんだよ!」
乱暴な所作で頭をぱかんと叩かれる。叱られて、ナルトはへへへと笑った。
「多由也姉ちゃん、心配してくれてありがとう」
「は!?」
「オレってば怒られて嬉しい」
「べ、別に心配なんてしてねぇよ!」
本当だからな!と真っ赤な顔で念を押されてナルトはまたへへへと笑う。
そして、多由也の放り投げたものをキャッチして歓声を上げた。
「あ、汁粉ドリンク!」
好物のお汁粉缶にナルトの表情が明るくなる。
「さんきゅ、多由也姉ちゃん!」
「ふん。たまたま売ってたんだよ、早く飲んじまいな」
「おう」
まだ温かい甘味飲料をナルトはコクコクと飲み下す。
「たく。男のくせによくそんな胸焼けしそうに甘ったるいもの飲めるな」
「多由也姉ちゃんも半分いる?」
「………いらねぇ」
金髪のひよこ頭にチョップを落とすと、へへへと笑い声が上がった。
「……うん、オレってば頑張る」
くしゃくしゃと多由也に頭を撫でられて、ナルトは柔らかい笑みを落とす。
「多由也姉ちゃん」
「なんだよ」
「オレ、最近おかしいんだってば。あの人のこと考えると、胸が苦しくて、いきなり泣けてきてさぁ……」
目尻の涙を拭きながら、へへへとナルトが力なく笑う。
「……その相手の男ってのは誰だ。――シメる」
「へ?」
多由也の顔に暗い線が入ったかと思うと、バックに不穏な殺気がうずまき出した。
「多由也」
拳銃を片手に出張出勤しようとした風俗店用心棒に、相方の次郎坊が全力で静止しに入ったのは言うまでもない。
時は過ぎて、三ヶ月後。多由也は某所に建つ高層マンションの前に立っていた。ブラックカラーのスーツに赤いシャツを着込み、黒いネクタイを締めている彼女は、うずまきナルトが元担任と暮らしているという木の葉マンション。
別に、ナルトのことは心配などしていない。あれでナルトは要領が良い。それに、いざとなれば男の股間を蹴ってでも逃げてこいと教え込んである。ただ、まだそこは17歳だ。ロクでもない男に捕まっていた場合は連れ帰ってやらなければいけないだろう。もちろん、相手の男を血祭りに上げて…なんてことを多由也は心の中でこっそり思っていた。
「多由也姉ちゃん!」
フリルのエプロンをして、ナルトが玄関前で多由也を出迎えた。
「ナルト。蛆虫はどこだ。秒殺してくれる」
「お、おう?」
ナルトは多由也の剣幕驚いて手をぶんぶんと振る。
「ちがうってば。これはオレが勝手に…突撃☆カカシ先生に悪戯でゴー計画なんだってば!」
カカシ先生ってば最近職員会議が忙しくてオレに構ってくれなくて仕返しについ…というような内容をナルトが語り始めた。
「ちなみに網タイツも買ってみたってば。男にはやっぱり網タイツだってば」
ファッションセンターしま○らで…とナルトが激安ショップで買った怪しげな戦闘品の次々を披露し始める。
「これでカカシ先生を悩殺なんだってば」
「ナルト…おまえ一日中そんなことばっかやってるのか」
呆然とした多由也の言葉にナルトはしゅんと項垂れて唇を尖らせる。
「だって、カカシ先生ってばバイトするなっていうし、オレってば学校はまだ辞めたままだし毎日暇なんだってば…」
宙ぶらりん…とナルトはフローリングの床に足を投げ出していたが、すぐに明るくなる。
「多由也姉ちゃん、見て見てってば。オレのショーブパンツ。カカシ先生のお気に入りは紐パーン。マニアック!」
びらびらした布面積の薄いものを突き付けられ、多由也は思わず仰け反った。よく見れば窓際には、洗濯済みの下着が男もののトランクスと一緒に風に靡いていた。
掃除も行き届いているようで、どうやらナルトはこの小さな部屋の中でちょろちょろとよく働いているらしい。
「もう少しでカカシ先生が帰って来るから多由也姉ちゃんお茶でも飲んで待ってろってば。うわ、オレってば出来た嫁!?」
ケラケラ笑いながらナルトがエプロンの紐を結び直した時だった。
「ナルトー。ただいまー、変なバイト始めないでちゃんといい子で待っててくれたー?」
万を持して、登場したのは木の葉学園数学教師はたけカカシだった。
「てめーがロクデナシのホモヤローかぁ」
「ナ、ナルト。この人は」
「多由也姉ちゃんだってば。あのな、カカシ先生、多由也姉ちゃんってばちょーちょーいい人なの。オレってばいっぱいお世話になった」
赤毛女の横でナルトが天使の笑みでカカシを出迎えた。
「歯ぁ食い縛れ」
ナルト。おまえの世界のちょーいい人は初対面の相手の胸倉を掴むのか!?
憐れなはたけカカシの悲鳴がマンションの7階に響いたという。
☆カカシ先生、流石にごめんなさい。
18禁パラダイス。ナルト、大人ですからね!
ナルトの咽喉から、甲高い声が漏れる。カーテンの引かれた薄暗い部屋で、大人二人分の体重に悲鳴を上げてギシギシとベッドが撓る。情事中の睦言すらも惜しむようにナルトはカカシとセックスをしていた。
「あ、あぁん。あ、あ、あん……」
カカシの上に跨り自分から腰を振るう。腰に打ち込まれる熱の大きさに、嬌声が上がることを抑えることが出来ない。
快楽に慣れた身体は、月の力も借りて酷く正直だった。繋がった結合部からどちらのものともしれない体液が零れて、ナルトの内腿を汚す。
「………ふぅ、ん」
「……………気持ちいいの、ナルト?」
「あ、あぅ…あ、あ、あん…あ…ぅ……」
大人の腹に手を付いて、乱れる金糸の青年は、一心不乱に快楽を貪っているのに、行っている行為の生々しさとは逆に綺麗だった。
ナルトの頬を零れ落ちた一滴の涙を拭ってカカシは、ぐんっと自分の上体を起こした。
「……………っあぁん」
中に入っているものが、ズレたのだろう。ナルトが髪の毛を振り乱して、身体を撓らせた。
「………カカシセンセ、センセ。もっとっ。もっと欲しっ」
ナルトが腰を振って激しく乱れる。
快楽に酔っているナルトの潤んだ瞳は、ゆらゆらとカカシを映す。期待に応えて、ナルトの下肢を鷲掴んで結合を深くすれば、
「あ…、あぁ……」
ぶるぶると震えて、慎ましやかに、ナルトは射精した。自然と内壁が、きゅんと締まりカカシも遅れてナルトの内部に精を放出する。
「まだ足りないデショ。ほら、好きなように動いてごらん?」
「あ、やぁん。カカシせんせぇも……っ。あ、あ、あ、あっ」
まだ白い液体を身の内に注ぎ込まれながら、ナルトの肉壁がざわざわとカカシのペニスに絡み付く。匂いたつような色香が鼻腔を擽り、カカシを誘うように、ナルトは腰をくねらした。肉食獣を思わせる蠱惑的な瞳がカカシを誑かす。
「ふぁ。やっ、もっと深く…!」
「こら、ヤンチャしないの」
「やっ。動いて…っ」
立て続けの催促。カカシを貪欲に飲み込もうとうねる身体。
「はぅ……」
ナルトの変調の理由は、人の肉を食ったような赤い三日月の夜にあった。青年の半生を知り尽くしている大人は、それを重々承知していたから、青年に叱られながらもじっと辛抱して周りに纏わりついていたのだ。
月齢と月との距離と、赤い月夜の晩であるということ、全ての条件が揃った時、月と相性の良い妖しは器である青年の身体のサイクルを狂わす。
その晩が来ると、ナルトは熱い吐息を漏らし、碧い目を潤ませ、欲を満たしてくれる相手を求めて見境いがなくなる。もちろん、恋人の自分が居れば欲の捌け口は安定するのだが、以前同輩のシカマル等と飲み会の席でそうした状態になり、ナルトはカカシの名前を呼んで少々手の付けられない状態になったという。そんな状態でも自分の名前を呼び求めてくれるナルトに対して嬉しく思う反面、ナルトの体質を知った誰かが良からぬことを企むとも知れない。何しろ、ナルトが忠実にカカシを求めるのは、カカシ以外の男や女を知らないだけの話なのだ。ナルトが誰かに身体を開くのを見過ごすほどカカシも心が広くはない。
カカシはナルトの要望に答え、狭い孔の中に自身を突き入れながら、ほぼ垂直の位置でナルトを犯した。
「あっ。ひゃん、カカシせんせぇ……!」
またナルトの精が弾けた。白い液体がカカシの腹を汚す。
「もっと。もっと頂戴ってば」
浅ましく、おねだりを繰り返すナルトに、カカシは笑みを深くする。
こいつの中にいる化け狐はさぞ残念だろう、人間の女を抱けるはずが、宿主が教え込まれたのは、男に抱かれる快楽であったのだから。
「なにが欲しいの?」
「えっ?あう、あっ、あっ、あっ」
「ほら、ナルト先生。もっとナニが欲しいんですか?」
「や、意地悪しないでってばっ。挿れ、挿れて」
カカシはわざとペニスを半分ほど引き抜き、ちゅ、ちゅっ、と結合部の辺りで浅く抜き挿しする。身体を満たしていたものが無くなってナルトはすんっと鼻を鳴らした。
「だーめ、ちゃんと言ってごらん?」
「やう。おねが…っ。カカシせんせぇの…っ」
教師と生徒の関係を離れてからも、ナルトの中でカカシを「先生」と呼ぶ呼称が変ることはなかった。そしてカカシが〝ナルト先生〟と呼ぶ時は大概意地の悪い悪戯を仕掛ける時と決まっていた。
「ほら、ナルト先生。やらしい言葉たくさん教えてあげたでしょ?」
もどかしい動きにナルトの身体が刺激を求めて揺れる。
「や、や、や…。コレ、欲しっ。コレここまでっ。欲しいってば……っ」
小刻みに揺すられながら、ナルトの手がカカシとの結合部へと伸びて、拙い言葉を並び立て、カカシに快楽が欲しいと乞う。
「やだも…カカシせんせぇのでぐちょぐちょにシテってばぁ……」
自身のペニスを掴んだナルトの手に、カカシはにんまりと人の悪い笑みを零した。そのままカカシのモノを奥深くに招き入れようとしたナルトはカカシの視線に気付いて表情を暗くさせた。
「ごめ、ごめんなさい。カカシ先生、オレってば今日変だから……おねがっ」
「それは、わかってるから大丈夫だよ?」
おそらく、ナルトの中では九尾のせいで火照った身体が堪らなく羞恥を呼び起こすのだろう。恋人のカカシの存在を利用するように性行為を欲求することも、不慣れなのだ。
利用など、遠慮なく幾らでもしてくれても良いとカカシ本人が思っていてもだ。
「ほら、ナルト。オレの全部あげる」
「ひああああっ」
まっさらだった身体に雄を咥えることを教え、本来女性に向くはずの快楽を同性の自分のみへと向かうように叩き込んだのは、他ならぬカカシ自身だった。九尾の狐は、宿主の腹を掻き回し、思うままに貪るカカシを恨んでいるに違いない。
「ごめん、ごめん。センセー忘れてた。おまえは身体で覚えるタイプだったんもんねえ?」
ぐっと熱り立つものを、ナルトの内部に押し込める。
「ほら、これが欲しかったんでしょ」
「――あああぁっ」
やっと欲しいものを与えられ、ナルトの身体は歓喜に震え、勃ち上がりっ放しの若い性器から、しとと…と花の茎を手折った時に溢れる透明な滴のように精液が零れた。
「ん。やっぱりそうだったんだ。ナルトの中、きゅうきゅうオレのこと締め付けてくるよ?」
「あっ、あん。もっと、カカシ先生。あん、あふ、あああっ」
「ふふふ……」
カカシは味わうように腰を揺らす。
「こんなに濡れて、学校の先生がはしたないんだ。廊下でお漏らししたら生徒にバカにされちゃーうよ」
「や、そんなことないも…あ、あ、あぅっ」
「あれれ。ナルト先生の色っぽいとこ、可愛い生徒には見せてあげないの?」
「やめっ。んんぅ…生徒の事出すなっ」
ナルトの手が何かを堪えるように、白いシーツを掴む。
「あ、あぁん。あ、あ、あん……」
カカシの上に跨り自分から腰を振るう。腰に打ち込まれる熱の大きさに、嬌声が上がることを抑えることが出来ない。
快楽に慣れた身体は、月の力も借りて酷く正直だった。繋がった結合部からどちらのものともしれない体液が零れて、ナルトの内腿を汚す。
「………ふぅ、ん」
「……………気持ちいいの、ナルト?」
「あ、あぅ…あ、あ、あん…あ…ぅ……」
大人の腹に手を付いて、乱れる金糸の青年は、一心不乱に快楽を貪っているのに、行っている行為の生々しさとは逆に綺麗だった。
ナルトの頬を零れ落ちた一滴の涙を拭ってカカシは、ぐんっと自分の上体を起こした。
「……………っあぁん」
中に入っているものが、ズレたのだろう。ナルトが髪の毛を振り乱して、身体を撓らせた。
「………カカシセンセ、センセ。もっとっ。もっと欲しっ」
ナルトが腰を振って激しく乱れる。
快楽に酔っているナルトの潤んだ瞳は、ゆらゆらとカカシを映す。期待に応えて、ナルトの下肢を鷲掴んで結合を深くすれば、
「あ…、あぁ……」
ぶるぶると震えて、慎ましやかに、ナルトは射精した。自然と内壁が、きゅんと締まりカカシも遅れてナルトの内部に精を放出する。
「まだ足りないデショ。ほら、好きなように動いてごらん?」
「あ、やぁん。カカシせんせぇも……っ。あ、あ、あ、あっ」
まだ白い液体を身の内に注ぎ込まれながら、ナルトの肉壁がざわざわとカカシのペニスに絡み付く。匂いたつような色香が鼻腔を擽り、カカシを誘うように、ナルトは腰をくねらした。肉食獣を思わせる蠱惑的な瞳がカカシを誑かす。
「ふぁ。やっ、もっと深く…!」
「こら、ヤンチャしないの」
「やっ。動いて…っ」
立て続けの催促。カカシを貪欲に飲み込もうとうねる身体。
「はぅ……」
ナルトの変調の理由は、人の肉を食ったような赤い三日月の夜にあった。青年の半生を知り尽くしている大人は、それを重々承知していたから、青年に叱られながらもじっと辛抱して周りに纏わりついていたのだ。
月齢と月との距離と、赤い月夜の晩であるということ、全ての条件が揃った時、月と相性の良い妖しは器である青年の身体のサイクルを狂わす。
その晩が来ると、ナルトは熱い吐息を漏らし、碧い目を潤ませ、欲を満たしてくれる相手を求めて見境いがなくなる。もちろん、恋人の自分が居れば欲の捌け口は安定するのだが、以前同輩のシカマル等と飲み会の席でそうした状態になり、ナルトはカカシの名前を呼んで少々手の付けられない状態になったという。そんな状態でも自分の名前を呼び求めてくれるナルトに対して嬉しく思う反面、ナルトの体質を知った誰かが良からぬことを企むとも知れない。何しろ、ナルトが忠実にカカシを求めるのは、カカシ以外の男や女を知らないだけの話なのだ。ナルトが誰かに身体を開くのを見過ごすほどカカシも心が広くはない。
カカシはナルトの要望に答え、狭い孔の中に自身を突き入れながら、ほぼ垂直の位置でナルトを犯した。
「あっ。ひゃん、カカシせんせぇ……!」
またナルトの精が弾けた。白い液体がカカシの腹を汚す。
「もっと。もっと頂戴ってば」
浅ましく、おねだりを繰り返すナルトに、カカシは笑みを深くする。
こいつの中にいる化け狐はさぞ残念だろう、人間の女を抱けるはずが、宿主が教え込まれたのは、男に抱かれる快楽であったのだから。
「なにが欲しいの?」
「えっ?あう、あっ、あっ、あっ」
「ほら、ナルト先生。もっとナニが欲しいんですか?」
「や、意地悪しないでってばっ。挿れ、挿れて」
カカシはわざとペニスを半分ほど引き抜き、ちゅ、ちゅっ、と結合部の辺りで浅く抜き挿しする。身体を満たしていたものが無くなってナルトはすんっと鼻を鳴らした。
「だーめ、ちゃんと言ってごらん?」
「やう。おねが…っ。カカシせんせぇの…っ」
教師と生徒の関係を離れてからも、ナルトの中でカカシを「先生」と呼ぶ呼称が変ることはなかった。そしてカカシが〝ナルト先生〟と呼ぶ時は大概意地の悪い悪戯を仕掛ける時と決まっていた。
「ほら、ナルト先生。やらしい言葉たくさん教えてあげたでしょ?」
もどかしい動きにナルトの身体が刺激を求めて揺れる。
「や、や、や…。コレ、欲しっ。コレここまでっ。欲しいってば……っ」
小刻みに揺すられながら、ナルトの手がカカシとの結合部へと伸びて、拙い言葉を並び立て、カカシに快楽が欲しいと乞う。
「やだも…カカシせんせぇのでぐちょぐちょにシテってばぁ……」
自身のペニスを掴んだナルトの手に、カカシはにんまりと人の悪い笑みを零した。そのままカカシのモノを奥深くに招き入れようとしたナルトはカカシの視線に気付いて表情を暗くさせた。
「ごめ、ごめんなさい。カカシ先生、オレってば今日変だから……おねがっ」
「それは、わかってるから大丈夫だよ?」
おそらく、ナルトの中では九尾のせいで火照った身体が堪らなく羞恥を呼び起こすのだろう。恋人のカカシの存在を利用するように性行為を欲求することも、不慣れなのだ。
利用など、遠慮なく幾らでもしてくれても良いとカカシ本人が思っていてもだ。
「ほら、ナルト。オレの全部あげる」
「ひああああっ」
まっさらだった身体に雄を咥えることを教え、本来女性に向くはずの快楽を同性の自分のみへと向かうように叩き込んだのは、他ならぬカカシ自身だった。九尾の狐は、宿主の腹を掻き回し、思うままに貪るカカシを恨んでいるに違いない。
「ごめん、ごめん。センセー忘れてた。おまえは身体で覚えるタイプだったんもんねえ?」
ぐっと熱り立つものを、ナルトの内部に押し込める。
「ほら、これが欲しかったんでしょ」
「――あああぁっ」
やっと欲しいものを与えられ、ナルトの身体は歓喜に震え、勃ち上がりっ放しの若い性器から、しとと…と花の茎を手折った時に溢れる透明な滴のように精液が零れた。
「ん。やっぱりそうだったんだ。ナルトの中、きゅうきゅうオレのこと締め付けてくるよ?」
「あっ、あん。もっと、カカシ先生。あん、あふ、あああっ」
「ふふふ……」
カカシは味わうように腰を揺らす。
「こんなに濡れて、学校の先生がはしたないんだ。廊下でお漏らししたら生徒にバカにされちゃーうよ」
「や、そんなことないも…あ、あ、あぅっ」
「あれれ。ナルト先生の色っぽいとこ、可愛い生徒には見せてあげないの?」
「やめっ。んんぅ…生徒の事出すなっ」
ナルトの手が何かを堪えるように、白いシーツを掴む。
「くっ。――締まる。最高っ」
「あああ……っ」
かろうじて残っていた理性が、羞恥心を呼び起こしたらしく、身悶えたナルトの内壁が挿入されているカカシのペニスをきつく締め付けた。
「いやいや言っても人一倍感じてるワルイ先生だね…んんんっ?――はぁ。堪んない。また出ちゃいそっ」
「あっ、あん、あん。あ――っ」
ガツガツ音がしそうなほどカカシのものがナルトの中に挿入され、月明かりを背景に、二人が同時に達した。
「うぁ…。ううん…」
射精後もまだ前後するカカシの緩慢な動きにナルトは、小さな喘ぎ声を洩らす。
「あ、あふ…ふぁ、ぁ、ああ」
カカシのペニスはナルトの内部でくったりと萎えたものの、源泉のように湿って温かなナルトの内部で、硬度を取り戻していく。
「んふぁ……。ま、待っててば。カカシ先生。オレってばまだ……」
「―――待てない。ん、ん、んっ」
「あっ。ひぁあ…」
カカシはナルトを引っくり返し四つん這いにさせると、精液の零れた孔の中に、自身を突き込んだ。枕を抱えて嫌がるナルトの尻だけを高くさせ、一気に挿入する。
「オレも発情しちゃったみたい。ナルト、相手をして?」
「うぁ……。やっ、あぁ……っ」
「く。…気持ちいい」
ナルトの身体に再び熱が灯る。寝室内に仕置きをするような音がパンパンと鳴り響き、ナルトは頬を真っ赤にさせ、カカシのペニスを受け入れる。九尾から発生した快楽に身体と精神が付いていけていないのだ。
「ほら、エッチなのはナルトだけじゃないでしょ。オレもなんだからダイジョーブ」
「や、や、やぁ……も、死んじゃうってばぁ」
「〝やだ〟じゃないでしょ? ね、ナルト先生。何が、やーなの」
「あっ、あっ、あっ、や、だって……っ」
カカシはナルトのペニスを掴むと、先端の部分を親指の腹で押した。ぐりり、と擦られた瞬間ナルトはまた達してしまった。
「身体はこんなに気持ち良いって言ってるのに…素直になりなさい?」
カカシの動きは一向に止まらない。ナルトの心臓はバクバクと脈打ち、視界が揺れる。
「ナールト、腰振れてるよ?」
「あ、あん……。うそ……」
「自分から腰を突き出して、イケナイ先生だね………―――死んじゃうくらい気持ちいい?」
カァアアアとナルトの顔が耳たぶまで赤く染まる。発情しているナルトの身体は、心とは裏腹に際限なく欲を求めてしまうのだ。
「あああ……っ」
かろうじて残っていた理性が、羞恥心を呼び起こしたらしく、身悶えたナルトの内壁が挿入されているカカシのペニスをきつく締め付けた。
「いやいや言っても人一倍感じてるワルイ先生だね…んんんっ?――はぁ。堪んない。また出ちゃいそっ」
「あっ、あん、あん。あ――っ」
ガツガツ音がしそうなほどカカシのものがナルトの中に挿入され、月明かりを背景に、二人が同時に達した。
「うぁ…。ううん…」
射精後もまだ前後するカカシの緩慢な動きにナルトは、小さな喘ぎ声を洩らす。
「あ、あふ…ふぁ、ぁ、ああ」
カカシのペニスはナルトの内部でくったりと萎えたものの、源泉のように湿って温かなナルトの内部で、硬度を取り戻していく。
「んふぁ……。ま、待っててば。カカシ先生。オレってばまだ……」
「―――待てない。ん、ん、んっ」
「あっ。ひぁあ…」
カカシはナルトを引っくり返し四つん這いにさせると、精液の零れた孔の中に、自身を突き込んだ。枕を抱えて嫌がるナルトの尻だけを高くさせ、一気に挿入する。
「オレも発情しちゃったみたい。ナルト、相手をして?」
「うぁ……。やっ、あぁ……っ」
「く。…気持ちいい」
ナルトの身体に再び熱が灯る。寝室内に仕置きをするような音がパンパンと鳴り響き、ナルトは頬を真っ赤にさせ、カカシのペニスを受け入れる。九尾から発生した快楽に身体と精神が付いていけていないのだ。
「ほら、エッチなのはナルトだけじゃないでしょ。オレもなんだからダイジョーブ」
「や、や、やぁ……も、死んじゃうってばぁ」
「〝やだ〟じゃないでしょ? ね、ナルト先生。何が、やーなの」
「あっ、あっ、あっ、や、だって……っ」
カカシはナルトのペニスを掴むと、先端の部分を親指の腹で押した。ぐりり、と擦られた瞬間ナルトはまた達してしまった。
「身体はこんなに気持ち良いって言ってるのに…素直になりなさい?」
カカシの動きは一向に止まらない。ナルトの心臓はバクバクと脈打ち、視界が揺れる。
「ナールト、腰振れてるよ?」
「あ、あん……。うそ……」
「自分から腰を突き出して、イケナイ先生だね………―――死んじゃうくらい気持ちいい?」
カァアアアとナルトの顔が耳たぶまで赤く染まる。発情しているナルトの身体は、心とは裏腹に際限なく欲を求めてしまうのだ。
ぐん、とカカシのモノで突き上げられ、律動が激しくなる。ナルトは枕に突っ伏してヒイヒイと啼いた。
「――――――あっ!」
ゴポゴポと精液の漏れる音がして、またカカシが射精したことを知った。長い射精に耐えていると、カカシの唇が背中に落ちてくる。
「んはぁ……」
「ナルト、こっち向いて」
「んんう……」
ズン、とカカシのモノが深く挿さる。カカシのペニスがナルトの前立腺を巧みに刺激すると、勝手にナルトの性器がまた勃ち上がった。
己の貪欲な欲望に、ナルトは顔を逸らし、〝だめ…〟と象ったナルトの唇を、今晩初めてカカシが塞ぐ。繋がったままの体勢で頭の中がぐちゃぐちゃになるようなキス。
「ん、んんう……」
「ナルト…」
「ふ……。も、苦し」
もう嫌だ、と訴える言葉とは裏腹に、ナルトの腰は揺れて、カカシのペニスが己の中から抜けて行くと物足りない表情を浮かべる。
「ふぁ…。はぁ、ん。カカシせんせぇ」
ナルトを向かい合う形で寝かせると、若い精は痛いほどの射精感から解放してくれと大人に訴えていた。下肢に擦り付けられたモノの感触に、カカシの唇の形が三日月のように自然と上がる。
「あ、あぅ………」
「なあに、ナルト?」
正確な要求をカカシに訴えられなくて、ナルトはモゴモゴと言い淀む。そのまま手を合わせ、青年が一等好きな体勢で気持ちの良いキスをしてやると、目に見えて身体の力が抜けたのがわかる。
「カカシせんせぇ、抱いてってば?」
「ん」
「オレのこと気持良くして欲しい」
「イイヨ。今日はおまえのイイトコロ擦り切れるまで、セックスしてあげる」
碧い瞳が潤む。
「……カシせんせぇ」
「愛してるよ、ナルト」
「オレも好き。大好き。センセーのいっぱい頂戴ってば」
仰せのままに、と囁いて、カカシは腕を広げたナルトの懐にダイブした。
「ふぁ……ん」
「綺麗だよ、ナルト?」
「カ、カシせんせ……」
碧い瞳が、カカシだけを真っ直ぐに映す。ゆさゆさと揺すられ、腹の奥までカカシのペニスが届く。ナルトの後膣は完全にカカシを受け入れていた。
カカシはナルトの太股を抱え上げると、思い切り自身を打ち込んだ。
「ひん……!」
「―――……うっ。ん、ん、ん」
ナルトが歯を食い縛って、カカシの背中に回した。カカシの背中に立てられた爪は、肌に付けては消える儚い情事の傷痕を残す。
「あっ、あふ。あ、あんん。ひぃ、カカシ先生」
「ほら、ナルト。こんなに奥まで届くよ…?」
「ひぁ、言わないでぇ。あ、あぁ……っんんっ」
おまえのハラの中、オレのでいっぱいだねぇと囁いて、
「く。―――ナルト」
「カカシセンセ……好きィ」
先にナルトが達して、すぐにカカシもナルトの中に精を放った。しかし、まだ夜は長い。二人の情事は月が明け方の空に溶けてしまうまで続けられた。
「くぁ………」
次の日は日曜日だった。アカデミーの教師になってからというもの、ナルトの休みはカレンダーの赤い印が付く日に安定している。もちろん、カカシも恋人と同じ日にちに休みを取ることに余念がなお。一方の休日が安定したぶん、二人の休日が重なることは格段に多くなった。
欠伸を噛み殺したナルトはうつ伏せになって枕を抱き抱える。服を着ようと起き上がろうとしたナルトは、鈍い下肢の感覚に顔を顰めた。
「腰に力が入らねえ……」
半眼で睨みつけるナルトに対して、カカシは白い背中にキスを落としていた。
「〝熱〟、収まった……?」
ベッドの上に横たわり頬を杖を悪気のない顔で微笑まれて、ナルトは困ったようにカカシから視線を逸らした。
「おう、もうすっかりな」
ぶっきらぼうながらも、ナルトは背中に覆い被さってくるカカシを避けようとはしない。一見淡白そうなカカシのスキンシップの量の多さはナルトから見れば異星人の域に達していたが、二人きりの時にベタ付いてくる分については最早諦めている。きっと、カカシ先生は昔甘えられなかったぶんオレに甘えてるんだ、ということで納得してしまったのだ。
そのまま仰向けに寝転ばされ、音を立てて乳首を舐められていると、ピンポーンとやけに軽快なチャイムの音が聞こえた。時計を見れば昼の11時。そして扉の向こうの弾んだ気配を察するに、客人は…。
「う、うそだろ?」
ガバっとナルトがシーツから起き上がる。
「うぁ、カカシ先生。どけってば」
「んー、もうちょっとー」
「馬鹿言うなってば。子供が来たってばよ」
ナルトは忍服の袖を通しながら、慌ててベッドから起き上がり、ふらふらしながらも玄関へと向かった。
「えーと、待たせてごめんってば」
「ナルト先生……!!!」
案の定、そこの居たのは昨日一楽に連れて行った生徒たちだ。ナルトは、情事の後の朝一発目に生徒たちの邪気のない笑顔を見て、気まずさでいっぱいになった。
「おまえたち、どうしたんだってば」
「私たち、ナルト先生にどうしても渡したいプレゼントがあるんです」
「へ」
〝耳慣れぬ〟お祝いの言葉と共に渡された花束をナルトは驚いたように見降ろした。
「ナルト先生、お誕生日おめでとうございます!」
「ちょっと遅れちゃったけど私たちからのプレゼントです」
先月、ナルト先生の誕生日だったんですよね?
色取り取りのリボンを付けた女の子と、男の子たちが無邪気に笑う。
「なんだよ、嬉しくないのかよ」
その中でも負けん気の強そうな少年でこちらを見上げていた。半ズボンのポケットに手を突っ込んだまま少年は、ナルトが受け持つクラスの生徒の一人だ。
「――拗ねるなって、ごめんな突然だからオレってばびっくりしちゃって」
「ふぅん。ならいいんだ」
「へへ、みんなサンキュ。オレってばすげー嬉しい」
「あー、ナルト先生泣いてるー」
「ばっか。嬉しい時は泣いてもいいんだってばよ?」
頬に伝った涙をぐいぐい袖口で拭ってナルトは笑うが、そのまま玄関口にへたり込んでしまう。
「ごめ…。っとに嬉しいんだ。オレってば誕生日なんて今まで……っ」
耳まで真っ赤にした教師を子供たちがニコニコ笑って囲む。教師と生徒の心温まる交流でふわふわした空気が周辺を満たした時、
「ナールト、どうしたの?」
金髪の少年の脇に手を差し込んだのは木の葉史上最強に空気を読まない男だった。
「あ!」
「またあいつだ!」
「ちっ」
いつの間に現れたのか、音もなくナルトの背後に居たのは寝間姿のはたけカカシだった。子供たち、一際男の子たちが対抗意識を燃やしてか、威嚇した子猫のように全身の毛を逆立てる。
「あらら。この花束この子たちから?」
「おう」
カカシは花束に挟まれたバースディーカードに気付いてなるほどと状況を理解する。はにかんだような、だけど少しだけ戸惑ったような表情を自分に向けるナルトを見下ろして、カカシは良し良しと身長差の大分無くなった頭を撫でてやる。
「どうして、あんたがここにいるんだよ!」
「そりゃ、おまえたちよりナルト先生と親密な関係だからかな?」
「く!?」
二人の世界を作った大人に激怒したのは生徒たちだった。余裕たっぷりの顔でカカシは唇に薄い微笑を乗せる。
「ナルト先生は今日、休日なの。おまえたちその意味、わかる?」
「ちょ、カカシ先生。んな、邪険にしなくてもいいじゃん。せっかく来てくれたのに…」
「なーに言ってるの、おまえ。こういうのは初期教育が大事なんだよ。はっきりさせておかないと…」
納得いかない表情のナルトの口を塞いで、
「いーい、おまえら。ナルト先生は今日は疲れてるの。気持ちは嬉しいんだけどまた別の日に来てくれるかな?」
一歩たりとも敷居を跨がせるもんか、というオーラを静かに出しつつ、カカシは言う。
「なんだよ、それ。教師と生徒が交流を深めるのはいけないことか?」
子供たちを代表して先ほどの少年が口を開く。
「だめとは言ってないよ。ただおまえたちも、もう小さくもないんだからもう少し気を使ってくれてもいいんぢゃないかな?」
「はっ。良く言うぜ。てめぇこそ、四六時中付き纏っていたらいい加減愛想尽かされるんじゃねーの」
「…………」
満面の笑みのままカカシは、ナルトを抱き起こす。
「………カカシせんせぇ?」
ナルトの背中にいやな汗が伝う。まさかそんな大人げないことしないよな?と思ったがナルトの願いは虚しく散った。カカシの右手に輝いた雷切りにナルトは蒼褪める。
「なーんだか、おまえとはどうも気が合わないようだねぇ」
「奇遇だな。それだけはオレたちも同じ意見だ」
アカデミー生であるはずの生徒が印を組み出す。他の生徒たちも不穏な空気を呼んだのか、練習用のギミッククナイを取り出し始める。流石は普段から演習し馴れているだけある教育ぶりだ。
さて、もう何度目かになるかわからないうずまきナルト争奪戦まであと何秒?
「――――――あっ!」
ゴポゴポと精液の漏れる音がして、またカカシが射精したことを知った。長い射精に耐えていると、カカシの唇が背中に落ちてくる。
「んはぁ……」
「ナルト、こっち向いて」
「んんう……」
ズン、とカカシのモノが深く挿さる。カカシのペニスがナルトの前立腺を巧みに刺激すると、勝手にナルトの性器がまた勃ち上がった。
己の貪欲な欲望に、ナルトは顔を逸らし、〝だめ…〟と象ったナルトの唇を、今晩初めてカカシが塞ぐ。繋がったままの体勢で頭の中がぐちゃぐちゃになるようなキス。
「ん、んんう……」
「ナルト…」
「ふ……。も、苦し」
もう嫌だ、と訴える言葉とは裏腹に、ナルトの腰は揺れて、カカシのペニスが己の中から抜けて行くと物足りない表情を浮かべる。
「ふぁ…。はぁ、ん。カカシせんせぇ」
ナルトを向かい合う形で寝かせると、若い精は痛いほどの射精感から解放してくれと大人に訴えていた。下肢に擦り付けられたモノの感触に、カカシの唇の形が三日月のように自然と上がる。
「あ、あぅ………」
「なあに、ナルト?」
正確な要求をカカシに訴えられなくて、ナルトはモゴモゴと言い淀む。そのまま手を合わせ、青年が一等好きな体勢で気持ちの良いキスをしてやると、目に見えて身体の力が抜けたのがわかる。
「カカシせんせぇ、抱いてってば?」
「ん」
「オレのこと気持良くして欲しい」
「イイヨ。今日はおまえのイイトコロ擦り切れるまで、セックスしてあげる」
碧い瞳が潤む。
「……カシせんせぇ」
「愛してるよ、ナルト」
「オレも好き。大好き。センセーのいっぱい頂戴ってば」
仰せのままに、と囁いて、カカシは腕を広げたナルトの懐にダイブした。
「ふぁ……ん」
「綺麗だよ、ナルト?」
「カ、カシせんせ……」
碧い瞳が、カカシだけを真っ直ぐに映す。ゆさゆさと揺すられ、腹の奥までカカシのペニスが届く。ナルトの後膣は完全にカカシを受け入れていた。
カカシはナルトの太股を抱え上げると、思い切り自身を打ち込んだ。
「ひん……!」
「―――……うっ。ん、ん、ん」
ナルトが歯を食い縛って、カカシの背中に回した。カカシの背中に立てられた爪は、肌に付けては消える儚い情事の傷痕を残す。
「あっ、あふ。あ、あんん。ひぃ、カカシ先生」
「ほら、ナルト。こんなに奥まで届くよ…?」
「ひぁ、言わないでぇ。あ、あぁ……っんんっ」
おまえのハラの中、オレのでいっぱいだねぇと囁いて、
「く。―――ナルト」
「カカシセンセ……好きィ」
先にナルトが達して、すぐにカカシもナルトの中に精を放った。しかし、まだ夜は長い。二人の情事は月が明け方の空に溶けてしまうまで続けられた。
「くぁ………」
次の日は日曜日だった。アカデミーの教師になってからというもの、ナルトの休みはカレンダーの赤い印が付く日に安定している。もちろん、カカシも恋人と同じ日にちに休みを取ることに余念がなお。一方の休日が安定したぶん、二人の休日が重なることは格段に多くなった。
欠伸を噛み殺したナルトはうつ伏せになって枕を抱き抱える。服を着ようと起き上がろうとしたナルトは、鈍い下肢の感覚に顔を顰めた。
「腰に力が入らねえ……」
半眼で睨みつけるナルトに対して、カカシは白い背中にキスを落としていた。
「〝熱〟、収まった……?」
ベッドの上に横たわり頬を杖を悪気のない顔で微笑まれて、ナルトは困ったようにカカシから視線を逸らした。
「おう、もうすっかりな」
ぶっきらぼうながらも、ナルトは背中に覆い被さってくるカカシを避けようとはしない。一見淡白そうなカカシのスキンシップの量の多さはナルトから見れば異星人の域に達していたが、二人きりの時にベタ付いてくる分については最早諦めている。きっと、カカシ先生は昔甘えられなかったぶんオレに甘えてるんだ、ということで納得してしまったのだ。
そのまま仰向けに寝転ばされ、音を立てて乳首を舐められていると、ピンポーンとやけに軽快なチャイムの音が聞こえた。時計を見れば昼の11時。そして扉の向こうの弾んだ気配を察するに、客人は…。
「う、うそだろ?」
ガバっとナルトがシーツから起き上がる。
「うぁ、カカシ先生。どけってば」
「んー、もうちょっとー」
「馬鹿言うなってば。子供が来たってばよ」
ナルトは忍服の袖を通しながら、慌ててベッドから起き上がり、ふらふらしながらも玄関へと向かった。
「えーと、待たせてごめんってば」
「ナルト先生……!!!」
案の定、そこの居たのは昨日一楽に連れて行った生徒たちだ。ナルトは、情事の後の朝一発目に生徒たちの邪気のない笑顔を見て、気まずさでいっぱいになった。
「おまえたち、どうしたんだってば」
「私たち、ナルト先生にどうしても渡したいプレゼントがあるんです」
「へ」
〝耳慣れぬ〟お祝いの言葉と共に渡された花束をナルトは驚いたように見降ろした。
「ナルト先生、お誕生日おめでとうございます!」
「ちょっと遅れちゃったけど私たちからのプレゼントです」
先月、ナルト先生の誕生日だったんですよね?
色取り取りのリボンを付けた女の子と、男の子たちが無邪気に笑う。
「なんだよ、嬉しくないのかよ」
その中でも負けん気の強そうな少年でこちらを見上げていた。半ズボンのポケットに手を突っ込んだまま少年は、ナルトが受け持つクラスの生徒の一人だ。
「――拗ねるなって、ごめんな突然だからオレってばびっくりしちゃって」
「ふぅん。ならいいんだ」
「へへ、みんなサンキュ。オレってばすげー嬉しい」
「あー、ナルト先生泣いてるー」
「ばっか。嬉しい時は泣いてもいいんだってばよ?」
頬に伝った涙をぐいぐい袖口で拭ってナルトは笑うが、そのまま玄関口にへたり込んでしまう。
「ごめ…。っとに嬉しいんだ。オレってば誕生日なんて今まで……っ」
耳まで真っ赤にした教師を子供たちがニコニコ笑って囲む。教師と生徒の心温まる交流でふわふわした空気が周辺を満たした時、
「ナールト、どうしたの?」
金髪の少年の脇に手を差し込んだのは木の葉史上最強に空気を読まない男だった。
「あ!」
「またあいつだ!」
「ちっ」
いつの間に現れたのか、音もなくナルトの背後に居たのは寝間姿のはたけカカシだった。子供たち、一際男の子たちが対抗意識を燃やしてか、威嚇した子猫のように全身の毛を逆立てる。
「あらら。この花束この子たちから?」
「おう」
カカシは花束に挟まれたバースディーカードに気付いてなるほどと状況を理解する。はにかんだような、だけど少しだけ戸惑ったような表情を自分に向けるナルトを見下ろして、カカシは良し良しと身長差の大分無くなった頭を撫でてやる。
「どうして、あんたがここにいるんだよ!」
「そりゃ、おまえたちよりナルト先生と親密な関係だからかな?」
「く!?」
二人の世界を作った大人に激怒したのは生徒たちだった。余裕たっぷりの顔でカカシは唇に薄い微笑を乗せる。
「ナルト先生は今日、休日なの。おまえたちその意味、わかる?」
「ちょ、カカシ先生。んな、邪険にしなくてもいいじゃん。せっかく来てくれたのに…」
「なーに言ってるの、おまえ。こういうのは初期教育が大事なんだよ。はっきりさせておかないと…」
納得いかない表情のナルトの口を塞いで、
「いーい、おまえら。ナルト先生は今日は疲れてるの。気持ちは嬉しいんだけどまた別の日に来てくれるかな?」
一歩たりとも敷居を跨がせるもんか、というオーラを静かに出しつつ、カカシは言う。
「なんだよ、それ。教師と生徒が交流を深めるのはいけないことか?」
子供たちを代表して先ほどの少年が口を開く。
「だめとは言ってないよ。ただおまえたちも、もう小さくもないんだからもう少し気を使ってくれてもいいんぢゃないかな?」
「はっ。良く言うぜ。てめぇこそ、四六時中付き纏っていたらいい加減愛想尽かされるんじゃねーの」
「…………」
満面の笑みのままカカシは、ナルトを抱き起こす。
「………カカシせんせぇ?」
ナルトの背中にいやな汗が伝う。まさかそんな大人げないことしないよな?と思ったがナルトの願いは虚しく散った。カカシの右手に輝いた雷切りにナルトは蒼褪める。
「なーんだか、おまえとはどうも気が合わないようだねぇ」
「奇遇だな。それだけはオレたちも同じ意見だ」
アカデミー生であるはずの生徒が印を組み出す。他の生徒たちも不穏な空気を呼んだのか、練習用のギミッククナイを取り出し始める。流石は普段から演習し馴れているだけある教育ぶりだ。
さて、もう何度目かになるかわからないうずまきナルト争奪戦まであと何秒?
空気猫取扱説明書概要
ここは二次創作小説置場です。無断転載は禁止。本物のカカシ先生とナルトくん、作者様とは一切関係がありません。苦手な人は逃げて下さい。
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管理人の生態
自己紹介
名前 空気猫、または猫
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
職業 ノラ
趣味 散歩・ゴミ箱漁り
餌 カカナル
夢 集団行動
唄 椎名林檎
性質 人間未満
日記 猫日和
ある日、カカナルという名のブラックホールに迷いこむ。困ったことに抜け出せそうにない。
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